編集部はCMを制作した大塚製薬に、話題を集めている『夢の背中篇』や、今年で9作目となった「受験生応援シリーズ」全体についてお話をうかがいました。
藤巻亮太『3月9日』とともに描かれる浪人生の1年間
今回注目されている『夢の背中篇』は、シリーズの第3弾として2016年に公開されたもの。受験に落ち、浪人生となった青年(村上虹郎)とその母親(神野三鈴)の1年間を、藤巻亮太が歌う『3月9日』のセルフカバーにのせて描いています。 映像は一人の受験生が志望校に落ちるところからスタート。頭を丸め、1年後の再入試に臨む青年の姿を、母親は後ろから見守りながら応援します。 いずれにしても「無理です号泣です」「ドボドボに泣いた」など、泣いた・感動したといった声が多くあがっていました。
大塚製薬にCMの意図や見どころを聞きました
2016年版が話題になっていることも踏まえ、編集部は大塚製薬に「受験生応援CM」シリーズについて聞きました。 ――今では受験シーズンの風物詩となっている、カロリーメイトの「受験生応援CM」シリーズですが、もともとはどのような経緯で企画されたのでしょうか。 情報量が膨大になり、企業の発信を届けることが以前に比べて難しくなった今、どのようにすれば約40年前に生まれた製品を新鮮に思ってもらえるのか。幅広い世代の人に共感してもらい、ファンになってもらえるか。その中で「受験」という人生の一大イベントの一つは、多くの人が経験し、いろいろと思い悩む時期でもあるため、共有しやすい経験と考えました。 一番多感な時期で、いろいろと思い悩みながら、喜んだり、苦しくなったり。誰もが良い思い出を持っているわけではないと思いますが、多くの人が共通体験として持っている「受験」を描くことは、現代の若者はもちろん、大人からも共感を得られるのではないかと考えました。 共感を得られるか、得られないかだと思っています。毎年、受験生向けのCMを制作しているからこそ「その年にしか描けない受験に挑む学生たちの様子」を等身大で描き、応援するようにしています。 今年の受験生は、入学以来3年間“非日常”な学生生活を送ってきた世代です。CM制作にあたり、毎年インタビュー調査をしていますが、その中で、受験勉強中も多くの人がSNS断ちをしなかったり、友達と音声通話をつないで勉強をしたり、合格発表は現地ではなくスマホなどで確認したと答えた人が大多数を占めるなど、今どきの大きく変化した受験勉強のスタイルが見えました。 入学から“非日常”を送った今年の受験生に対して、少しでも合格といううれしい瞬間を思わせ、励ましたいと思い、このCMを制作しました。 浪人が決まった瞬間から入試当日までの1年間、受験勉強に奮闘する息子の様子を、母親目線で描いた内容です。 助けたくても、直接何かできるわけではないので、本人を見守るしかない、という母親の目線を表現するため、息子のシーンはほとんど背中だけが映されており、ラストシーンに顔が映し出される演出にしています。 自画自賛のようになりますが、いつ見ても色あせない、それぞれの世代に響くポイントがたくさんあると思っています。 浪人生活をしていた人はもちろん、現役で頑張っている人も共感を抱く、受験本番に向けた焦り・不安。親になった人は、その子どもをそっと見守り続ける強さと優しさ。 見ていただいた方に、全世代の、どのような状況でも寄り添っていきたいというカロリーメイトの思いも伝われば、と願っております。 ――あらためて今、Twitterで話題になっていることについてどんなお気持ちでしょうか。 受験企画自体ももともと、CM放送後に寄せられた世の中の反応や、SNSなどを通じて知る中高生のリアルな声が想定よりもはるかに大きかったことを受けて、長年続く企画になっています。 大塚製薬・宣伝部としてはリアルな声を大事にしたいと思っておりますので、このように2016年の受験CMが今も話題になり、多くの人の共感を呼んでいることをうれしく思っております。 「進もう、すべてを栄養にして。」というコピーの通り、私たちもこの動きを止めずに、進んでいきたいと思います。
最新版ではMrs. GREEN APPLEの『僕のこと』を起用
この「受験生応援CM」は今年も制作されており、2022年11月には第9弾『狭い広い世界で』篇が公開されています。 楽曲にはMrs. GREEN APPLEの『僕のこと』を使用し、受験生役として山時聡真さん、友人役として奥智哉さんが出演。入学以来3年間“非日常”な学生生活を送ってきた今の受験生のリアルな姿を、「スマートフォン視点」というユニークな切り口で描いたものです。